①「エネルギー基本計画」の第6次策定の方向性については、既に、
『「第5次エネルギー基本計画」の現況と第6次策定の方向性
(その1)』と題して説明しました。
②「基本政策分科会」は、これまで5回開催されてきましたが、今回は
12月21日開催の第35回の審議状況を軸に説明します。
③第6次策定に向けた議論は、関連有識者会議においても下表の通り、
検討、取りまとめ、政府発表が行われています。
基本政策分科会での検討は、「3E+Sを目指す上での課題を整理」➤「2050年カーボンニュートラルの実現を目指すための課題と対応の検証」➤「2030年目標の進捗と更なる取組の検証」と進められ、8月に取りまとめられる予定です。
①経済産業省は基本政策分科会第35回会合で、2050年における各電源の
整理(案)として、「確立した脱炭素の電源」(再エネ、原子力)
と、「イノベーションが必要な電源」(火力=化石+CCUS、水素・
アンモニア)の位置付けを整理し、提示しました。
②2050年の総発電量に占める各電源の割合(電源構成)について、再生
可能エネルギーを5~6割、水素とアンモニア発電を合わせて1割、
残る3~4割は原発と二酸化炭素(CO2)を回収・貯留・再利用する
火力発電でまかなうこととしています(原発単体では割合を示さず、
火力と合わせて3~4割と想定)。
①基本政策分科会での電源構成は、菅義偉首相が掲げる「50年までに
温室効果ガス排出の実質ゼロ」の実現に向け、2020年12月25日に発表
された政府のグリーン成長戦略の実行計画と呼応するものとなってい
ます。
50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする政府目標に向け、
二酸化炭素(CO2)を排出しない原発も、安全性を前提に「一定規模
の活用」を目指すこととしています。
②政府の「グリーン成長戦略」では、「再エネですべてをまかなうのは
難しく、50年の総発電量に占める割合は現状の3倍程度の5~6割
(参考値)。残りは原発とCO2を回収する火力発電で計3~4割、水素
発電とアンモニア発電で計1割をまかなう。原子力を確立した脱炭素
技術と位置付け、『可能な限り依存度を低減しつつも、引き続き最大
限活用していく』」と、基本政策分科会での整理(案)と同内容と
なっています。
経済産業省は、21年1月以降、基本政策分科会において、産業、民生、運輸部門における50年カーボンニュートラルへの課題と対応の方向性、シナリオ分析の進め方、50年カーボンニュートラルを見据えた、30年目標の進捗と更なる取組みの検証について議論することとしています。
また、石油・天然ガス小委員会では、3月に取りまとめを予定していますが、取りまとめ結果は、資源・燃料分科会への報告を経て、第6次基本計画案に反映されます。
1月以降の審議の方向性等については(その3)で説明することとします。