ガソリン小売価格、誰が決めるの?
―領収書から見たガソリン小売価格―

(1)ガソリン小売価格の表示

    SS(ガソリンスタンド)では、店頭看板・店内表示・レシート等は消費税を含んだ総額表示(「税込み価格」)となっています。また、単価(127円/ℓ)の内訳は表示されていません。


(2)ガソリン小売価格の構造

    小売価格127円/ℓの構造は概ね下図のようになります。

①原料費相当の原油価格(10月上旬CIF価格)は30.2円で、小売価格全体の24%、精製費、備蓄費、輸送費、販売管理費、元売・小売マージン等は28.7円で全体の22%。残り約54%に当たる68.1円が税金で、その内訳は石油石炭税(一種の関税)が2.8円、ガソリン税が53.8円、消費税が11.5円です(消費税は従価税、それ以外は従量税)。

②このように、ガソリン小売価格の構造は、原油コスト約2割、精製・販売コスト約2割、ガソリン税等の税金約6割となっています。

    2014年10月までは原油コスト約4割、精製・販売コスト約2割、ガソリン税等の税金約4割となっていましたが、その後、原料費である原油コスト(原油CIF価格≒輸入価格)が大幅に下落したことに伴い、製品であるガソリンの小売価格も下落し、現在のような構造となりました。

ガソリン小売価格の構造

(出所)各種資料を基に作成


(3)ガソリン小売価格は自由価格

①ガソリン価格は、かつての石油業法規制下では仕切価格について標準額や行政指導価格など政府による価格介入がありましたが、現在は自由価格です。小売価格も自由価格で、価格介入はありません。

    しかし、石油危機などの緊急時には、「国民生活安定緊急措置法」に基づき、小売価格について標準価格が設定される場合があります。1973年の第一次石油危機時にはこの法律に基づき、「家庭用灯油」、「家庭用LPガス」に標準価格が設定されました。

②ガソリン小売価格は特約店や販売店の事業者が仕入価格(仕切価格/卸価格)を基に小売価格を決定しています。卸価格は従来の「輸入コスト積み上げ方式」から、2008年10月以降、原油価格等の「市場価格連動方式」に変更されました。

    また、卸価格は原油価格等の指標をタイムリーに反映させるため、その改訂は従来の 月次から週次に変更され、小売価格についても同じ対応となりました。

    その後、数次にわたる変遷を経て、2014年4月以降、元売り系列店の小売価格は概ね、下図のフォーミュラーで決定した卸価格に小売マージンを加味して決定されるようになりました。

    小売価格の54%相当は税金で、この税金は政府が決めているので、厳密には自由価格ではないとも言えます。

2014年4月以降の仕切及び小売価格の一般的なフォーミュラー
(イメージ)

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