「再生可能エネルギー」の電力を利用した場合一般家庭の負担は?

(1)再生可能エネルギーで発電した電力費用の負担者は?

    国は、2012年7月、太陽光、風力など再生可能エネルギーで発電した電力を固定価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付けた「固定価格買取制度(Feed-in Tariffs、略称FIT)」を導入しました。

    電力会社は発電された電気の取得に必要な価格を「再生可能エネルギー発電促進賦課金」(略称:再エネ発電賦課金)として一般の家庭や会社・店舗などの電力利用者の電力料金に上乗せして徴収することが認められています。

(2)平均的な家庭の「再エネ発電賦課金」は13倍まで上昇

    固定価格買取制度がスタートとした2012年度の再エネ発電賦課金は0.22円/kWhで、月間300kWh使用する平均的な家庭の月額負担額は66円でした。その後、再エネの導入が飛躍的に進み、2019年度には2.95円/kWh、月額885円となり、負担額は約13.4倍に膨れ上がりました。(2020年度は2.98円/kWhと微増)

    2020年度の買取費用総額は3.8兆円、賦課金は2.4兆円。これまで、再エネ比率10%⇒16.9%+6.9%に引上げるのに年間約2兆円の賦課金が投じられてきましたが、今後、再エネ比率23.6%を実現するには、残り6.7%を年間プラス約1兆円で実現することが必要となります。今後、賦課金総額を抑制、減少させるには、固定買取価格の早期の価格引き下げや自立化が急務の課題となっています。

再エネ発電賦課金の推移と見通し
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(出所)経済産業省資料


旧一般電気事業者の電気料金平均単価と再エネ発電賦課金の推移
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(出所)経済産業省資料


(3)電気料金の仕組みと「再エネ発電賦課金」の負担額

①毎月,電力メーター検針後、電力会社より「電気使用量のお知らせ」が通知されてきます。同お知らせ中の請求予定額の明細欄に「再エネ発電賦課金」が記載されていますので、ご自分の家庭の再エネ発電賦課金の金額が確認できます。

    なお、東京電力は、ペーパーレス化の一環として、2020年11月よりWEBで料金を確認するシステムに変更しましたので、お知らせの配布がなくなり、各自WEBで確認する必要があります。

②再エネ発電賦課金の負担額(実例)

    一般家庭の電気料金は、下図の通り、(ⅰ)基本料金、(ⅱ)電力量料金(燃料費調整を含む)、(ⅲ)再エネ発電賦課金等から構成されています。これに消費税が加算されたものが、私達が毎月支払っている電気料金です。

    このうち(ⅰ)の「基本料金」は、電気の使用量にかかわらず毎月支払わなければならない料金、(ⅱ)の「電力量料金」は、毎月の電気の使用量(kWh、キロワットアワー)に応じて、段階別に単価が変動します。(ⅲ)の再エネ発電賦課金は賦課金単価2.98円×使用量で計算します。

    ある家庭の2021年1月分の電力料金の実例をみると、従量電灯B契約で使用量が月間583kWh、電力料金の請求額は15,652円、再エネ発電賦課金は、1,737円となっています。  この家庭では1月料金が年間を通じて最も高額となっています。

    電力平均単価は26.8円/kWh。また、電力料金総額(15,652円)に占める再エネ発電賦 課金(1,737円)の割合は11%となっています。

ある家庭の電気料金明細と再エネ発電賦課金
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