世界主要国のEV普及に向けた現状

①世界のEV販売台数、2020年は41%増

    4月29日にIEAが公表した「Global Electric Vehicle Outlook 2021」によると、新型コロナウイルスによる経済不況が連鎖的に発生したにもかかわらず、EV(電気自動車)は2020年に前年比41%増の全世界で1,000万台強の新車数が登録されました。これに対し、2020年の世界の自動車市場は16%縮小しています。EVの好調な勢いは今年に入っても続いており、2021年第1四半期の販売台数は前年同期の約2.5倍に達していると伝えています。

    米国テスラ社や中国BYD社を筆頭に、中国、欧州、米国の3つのメーカーが製造する BEV(バッテリー式電動自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)が大半を占めています。

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(出所)IEA


②EUの2035年の内燃機関車の販売禁止の流れ

    EUのウルズラ・フォンデアライエン委員長は7月14日、2035年までにガソリン車やディーゼル車(内燃機関車)などの販売を事実上禁止する方針を打ち出しました。イギリスが2030年、フランスが2040年にガソリン車の販売を禁止する方針を打ち出していますが、EU全体の目標設定は初めてのことです。とくにイギリスはHV(ハイブリッド車)も禁止としてきましたが、これが今後EU全体に広がるのかが注目されています。

    ドイツの大手ダイムラーは早速、7月22日に2030年までに高級車部門「メルセデス・ベンツ」の新車全てをEVにする計画を発表しました。既存のエンジン車やHVに比べてEVは相対的に価格が高いため、自動車の電動化推進に対しては、購入時に補助金を出すなど、政策が大きくかかわっています。

    北欧のノルウェーはBEVの普及が急速に進んでいます。購入時の補助金政策もさることながら、自国の電力の95%を水力発電で賄っていることも普及を後押ししている側面がありそうです。

    米国はバイデン政権発足後、2050年に自動車の排出実質ゼロを打ち出しました。現在、BEV普及に積極的なカリフォルニア州の案を考慮した政策を他の州でも採用する可能性も高そうです。一方、中国では2019年から補助金が年々削減され、これまで右肩上がりだったBEVの販売台数の伸びにも陰りが出ています。

主要各国の電気自動車普及への取り組み(2021年3月末時点)
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(出所)環境省資料、各国自工会資料を基に作成


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