「概算要求」とは、次年度の予算編成に先立って、各省庁が政策の実施に必要な予算の見積りをまとめ、財務省に提出することです。この概算要求に基づいて、概算査定が実施、閣議決定などを経て次年度の予算が決定します。
エネルギー関連では、経済産業省、国交省、環境省など複数の省庁から出されます。
経済産業省は、脱炭素社会の実現を目指し、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの普及に重点配分。世界的に不足している半導体の生産体制も強化します。要求総額は令和3年度当初予算と比べ11.9%増の1兆4,026億円に膨らみました。
ここでは経済産業省資源エネルギー庁資源・燃料部関係の概算要求について概要説明します。
①経済産業省は8月31日、来年度予算の概算要求を発表しました。資源エネルギー庁資源・燃料部関係は3,772億円。足元の安定供給に万全を期すとともに、カーボンニュートラル(CN)への円滑な移行を実現するため、令和3年度当初予算から2割程度の増額となっています。
②「石油・天然ガスの安定供給確保」のため、リスクマネー供給、上流開発の脱炭素化や将来的な水素/アンモニアや、CCS適地の確保に向けた技術開発実証、資源国との協力等、供給途絶リスクに備えた石油・LPガスの備蓄制度の着実な実施等として201.4億円増の2,588.8億円を要求。
③「燃料供給体制の強靭化と脱炭素化取組みの促進」のため、製油所等における生産性向上やレジリエンス(復元力・回復力)強化に向けた設備投資及び脱炭素化に向けた実証・技術開発等を支援、地域のエネルギー供給を担うSSを維持するための先進的事業モデルの構築や災害対応能力強化に資する地下タンクの入換・大型化及び避難所等の社会的重要インフラへの燃料タンクや自家発電設備等の導入等の支援等として、58.6億円増の305.6億円を要求。
④「火力脱炭素化に向けたCCUS等/カーボンリサイクル技術開発」のため、2020年代半ばの確立を目指した、CO2を原料としたコンクリート材料やメタネーション(水素とCO2を原料としたメタン合成の呼称であり、将来の都市ガスの脱炭素化に向けた有望な技術)等の技術開発等、2030年のCCS商用化に向け、苫小牧CCUS拠点におけるCO2長距離輸送実証の本格化や、メタノール合成への展開等として、173億円増の652.3億円を要求。
⑤「地熱資源開発促進」のため、地熱資源探査リスクの低減のため、環境省と連携し、国内の地熱資源のポテンシャルの約8割が賦存する国立・国定公園内を中心に、JOGMECが新規の有望地点を開拓するポテンシャル調査を実施するとともに、事業 者が実施する地表・掘削調査などの初期調査に対する支援。さらに、地熱開発に対する地域住民等の理解促進に向け、地熱発電に対する正しい知識の共有等を行うための勉強会などの取組に対する支援として、85.7億円増の225.4億円を要求。
①令和3年度 予算額 (財投計画額) |
②令和4年度 概算要求額 (財投要求額) |
昨年度比増減額 (②-①) |
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資源・エネルギーの安定供給確保 | 2,387.4億円 (454億円) |
2,588.8億円 (835億円) |
201.4億円 (381億円) |
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燃料供給体制の強靭化と 脱炭素化取組みの促進 |
247億円 | 305.6億円 | 58.6億円 | |||
カーボンリサイクル技術等の促進 | 479.3億円 | 652.3億円 | 173億円 | |||
地熱資源開発の促進 | 139.7億円 | 225.4億円 | 85.7億円 | |||
合計 | 3,253.4億円 (454億円) |
3,772.2億円 (840億円) |
518.8億円 (386億円) |
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