【石炭】12、アフリカの石炭事情

    経済発展と貧困が入り混じるアフリカ大陸。2020年の石炭消費量が世界に占める割合は2.7%(BP統計)と決して高くはありませんでした。石炭火力発電所の利用に逆風が強まる潮流のなかで、この比率が今後も高まっていくのかは不透明です。

    BP統計によると、アフリカで最大の石炭消費国は南アフリカです。20年の消費量は約1億4,000万トンで、アフリカ大陸全体のおよそ85%を占めました。2位はモロッコの約1,100万トン(約7%)。いかに南アフリカの存在が大きいかがわかります。アフリカでも脱石炭の流れを無視するわけにはいきませんが、同国の鉱物資源・エネルギー大臣は10月、「石炭火力発電からの移行は段階的に進める」との考えを表明しました。国内の石炭火力発電比率は7割を超えるとされ、再生可能エネルギーなどへの急速な切り替えは現実的ではないとの考えを示したものと受け止められました。

    生産量も同様です。同年の南アフリカの生産量は2億4,800万トン。全世界でも3.2%を占める量でした。アフリカ大陸に限ればその比率は92.8%と圧倒的です。同国の石炭は欧州にも輸出されており、その積出し価格は国際市況にも影響を与えてきました。

    アフリカと地理的に遠い日本では、南アフリカからごくわずかな石炭を輸入しています。今後、この数量が大きく増加することは考えづらいですが、欧州向けの輸出動向によっては国際市況が変動することも想定されます。「アフリカの雄」である南アフリカの動きにも注目しておく必要がありそうです。

南アフリカの石炭消消費量(百万トン)
※画像クリックで拡大します。

出所:熱量ベースによるBP統計をもとに
日本エネルギープランナー協会がトンベースに換算


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