【石炭】5、日本の石炭火力発電の現状  

    政府は2018年7月に決定した第5次エネルギー基本計画で、二酸化炭素などの温室効果ガスの削減を実現するため、非効率石炭火力発電のフェードアウトに取り組んでいく必要があると表明しました。この方針を実現するため、20年7月には梶山経済産業大臣が、「実効性のある新たなしくみを導入するよう」指示を出しました。今回のシリーズでは、まず日本の石炭火力発電の現状を学んだうえで、今後に取り組むべき課題、その対処方法などについて考えていきます。

    最初に知っておきたいことは、一口に石炭火力発電といっても、いくつもの種類があるということです。一般的には、石炭を加熱して蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回転させるのですが、発生する蒸気の温度や圧力の違いによって名称が異なります(次ページの図を参照)。種類の違いによって燃焼効率が変わり、効率が良いほど温室効果ガスの排出量を抑えることができるのです。

    国内で実際に稼働している石炭火力発電を見てみると、「亜臨界圧(SUB-C)」→「超臨界圧(SC)」→「超々臨界圧(USC)」と呼ばれる方式があり、この順番に効率が高くなっていきます。現在の日本でもっとも多いのが「超々臨界圧」です。また、蒸気タービンとガスタービンを組み合わせて石炭ガス化複合発電(IGCC)といった新しい高効率の発電技術も広がり始めています。

    他の化石燃料に比べ、確かに石炭火力発電は温室効果ガスの排出量が多いのですが、いまの日本ですべての石炭火力発電を停止することは現実的ではありません。まずは発電効率の高い超々臨界圧やIGCCといった新しい技術を活用して、温室効果ガスの排出を少しずつ減らしていくことが必要といえるでしょう。

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出所:資源エネルギー庁


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