【石炭】7、アジアで続く石炭への依存

    発電時や製鉄のプロセスで二酸化炭素(CO2)の排出が多い石炭の使用は、世界的に敬遠されつつありますが、経済発展が続くアジアの国々では、石炭への依存が欠かせません。BP統計の熱量ベースの消費量をもとに算出した重量ベースの数値では、2019年の中国の石炭消費量は32億トンを超えました。全世界の消費量の51.7%を占める圧倒的な数量です。2011年以降の数量は概ね横ばいで推移しています。

    近年、中国を発生源とする微小粒子状物質(PM2.5)が、同国内外の環境を汚染しているとして大きな問題となっています。中国政府も液化天然ガス(LNG)の輸入を増やしたり、電気自動車の普及促進を図るなどの対策を強化し、今年4月の米国主催の気候変動サミットでも、2026年~30年にかけて石炭消費量を徐々に削減していく方針を表明しました。 2060年までにカーボンニュートラルの実現を目指しています。それでも経済発展を支える手段として、石炭の使用を完全に手放すことはできていません。

    中国のほか、これから石炭消費量が大幅に増えそうなのがインドです。2019年の消費量は7億4,000万トン超で、10年前に比べて6割近く増加しました。インド政府も石炭火力発電所に対しより厳しい温室効果ガスの排出基準を設けつつありますが、新しい石炭火力発電所の建設が予定されるなど、当分は石炭への依存が続きそうです。

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