【石炭】8、豪州の石炭事情

    日本はもっとも多くの石炭を豪州から輸入しています。天然資源に恵まれた南半球の大国は、石炭にとどまらず、鉄鉱石、石油、天然ガスなども豊富に蓄えています。しかし、近年の世界的な環境意識の高まりのなかで、天然資源に頼るこの国には逆風が強まっています。特に影響が大きいのが石炭との指摘が聞かれます。

    BP統計によりますと、2020年の豪州の石炭生産量は4億7,670万トンと、前年比5.4%減となりました(下のグラフ参照)。新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的な景気後退に見舞われた影響もありますが、ここ数年、資源メジャーや日本商社など権益保持者が事業撤退に踏み切っている事実は見逃すことはできません。例えば伊藤忠商事は今年発表した2021~23年度の中期経営計画のなかで、豪州を含む世界各地で保有する一般炭(発電用)の権益を売却する方針を示しています。

    また、豪州産石炭の主要な輸出先であった中国は、政治的な理由から豪州産を禁輸する措置を取っています。豪州の石炭は販売先が次第に絞られつつあり、天然資源大国としての優位性が少しずつ後退しているとの見方も伝えられています。

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