【石炭】10、米国の石炭事情

    強いアメリカを取り戻す―こう宣言して米国大統領の座にドナルド・トランプ氏が就任したのは2017年1月。パリ協定を離脱し、石炭や石油製品といった化石燃料を積極的に使用して経済活性化を図る施策を打ち出しましたが、トランプ氏在任中の米国でも、やはり石炭使用量は年々減少を続けました。

    BP統計をもとに算出した米国の石炭の年間使用量は2010年に約8億3,500万トン。その後、トランプ氏就任以前の2016年までは5億~7億トン台を推移しました。17年以降は下落基調に歯止めがかからず、同年が約5億5,400万トン。20年は約3億6,800トンに落ち込みました。過去10年で55%以上も減ったことになります。

    米国の環境団体であるシエラクラブが2019年12月に発表した資料によると、トランプ政権発足以降、全米約300の石炭火力発電所のうち、2割にあたる60以上が操業を停止しました。政権の思惑とは裏腹に、脱石炭の流れが加速していたことが窺われます。

    さらに2020年には、米国の発電電力量で注目すべき統計が発表されました。米エネルギー情報局(EIA)によると、石炭火力による発電量が、初めて自然エネルギーと原子力を下回ったのです。石炭使用量が過去10年で半分以下になった一方、自然エネルギーが倍増したためです。

    ただ、最近になってEIAは、2021年の石炭火力による発電量が、7年ぶりに前年を上回る見通しだと発表しました。年初にテキサス州を襲った寒波の影響や、高騰する液化天然ガス(LNG)の代替需要が高まったためと見られています。

米国の年間石炭消費量(単位:百万トン)
※画像クリックで拡大します。

出所:熱量ベースによるBP統計をもとに
日本エネルギープランナー協会がトンベースに換算


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