【ガス】8、LPガスの輸入が様変わり

    家庭や工場などで使われているLPガスは、多くが海外から輸入されています。日本国内で石油を精製する時に発生する国産LPガスの使用量は全体の20~30%で、残りの70~80%は海外から輸入されたものが使用されています。

    日本のLPガスの輸入は、このところ仕出し国が大きく様変わりしています。従来、日本のLPガスの輸入は、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)など中東産油国からのものが90%以上を占めていましたが、2020年度には、米国からの輸入が70%近くを占めるまで増加しています。米国では2010年以降、シェール革命に伴いLPガスの生産および輸出が急増し、日本企業の多くは、中東出しのLPガスの代わりに米国出しのLPガスの引き取りを増やしました。生産量が急増した米国産のLPガスは一時的ながら、中東産LPガスに比べ割安になったからです。また2019年には、米中貿易摩擦の影響で、中国が米国産LPガスの引き取りを減らすなか、日本企業が余剰となった米国産LPガスの買付けを一気に増やしたといったこともあり、日本の米国産LPガスの輸入が大幅に増加しました。このところ米国の他、カナダや豪州からの輸入も増えつつあり、2020年度における日本の輸入量約1,010万トンのうち、中東出しのLPガスの輸入割合は12%台にまで低下しています。サウジアラビアやカタールなど中東産油国は、インドや中国など他の国へLPガスの販売量を増やすことで日本向けの販売量の減少に対応しており、今後もこの傾向はしばらく続くと見られています。

ではおさらいクイズです。

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