【ガス】10、米国のLNGの生産量が増加を続ける

    米国の液化天然ガス(LNG)の輸出が年々増加しています。2020年の輸出量は、4,845万トンと2019年に比べ35%増加するとともに、2010年の110万トンに比べ実に44倍増加しました。LNGの生産量の増加が著しい豪州でも、この10年における増加が約4倍にとどまっていることから、米国のLNGの輸出量の伸びがいかに大きいかわかります。

    米国におけるLNGの生産はこれまで少なかったものの、2000年代後半に頁岩(シェール)といった固い岩盤に含まれる天然ガスを採掘する技術が開発されたことから、天然ガスの生産量が飛躍的に増加しました。このシェールガス革命を契機にLNGの生産量も一気に増加しました。天然ガスを液化してLNGとして輸出する基地は、年間生産能力が2,250万トンのサビンパス基地による2016年の稼働開始を皮切りに増えています。2021年9月の時点では6カ所となり、生産能力も7,380万トンまで増加しています。これら米国のLNG輸出基地に対しては、米国企業だけではなく日本の三菱商事や大阪ガスなど外国企業も多く出資しています。

    シェールガスの生産は、天然ガスやLNGの価格に左右されることが多く、天然ガスやLNGの価格が大きく下落した場合、利益が得られないとして生産を停止する企業が現れます。しかし、カーボンニュートラル時代に向けた移行期には、天然ガスやLNGの果たす役割は大きく、世界的にも相応の需要を見込む関係者が増えています。このためLNGの相場はしばらく堅調に推移し、米国におけるLNGの生産量もしばらく増加傾向が続くとの見方が多くなっています。

ではおさらいクイズです。

クイズ >

次へ >
目次に戻る >