【ガス】11、中国、日本を抜きLNGの輸入量世界1位へ

    中国の液化天然ガス(LNG)の輸入量が大きく増加しています。2015年までは、年間輸入量が2,000万トン前後にとどまっていましたが、その後は急速に増加し、2020年には約7,100万トンと2015年に比べ約3.5倍の水準に達しました。インドやブラジルなど新興国でもLNGの需要は増加していますが、中国の伸びは突出しています。

    中国では、2010年ごろから大気汚染が深刻化しました。石炭や石油を燃料とした発電所から排出される硫黄酸化物が原因で健康被害が社会問題となりました。大気汚染の被害が進むなか中国政府は2017年、「エネルギー第13次5カ年計画」を策定し、電力を作るエネルギーの種類で分類した発電設備の割合、いわゆる電源構成のうち、これまで6割程度を占めていた石炭の割合を減らし、大気汚染の少ない天然ガスなどへシフトする方針を決めました。これにより中国では、発電所だけではなく、各種工場、輸送分野など各方面で石炭や石油からLNGへのシフトが進むとともに、一般家庭でもLNGをもとにした天然ガスの使用が定着し始めました。

    脱炭素の動きが世界的に加速していることも中国がLNGの輸入を増やす要因となっています。今年の11月上旬に閉幕した第26回国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP26)では、温暖化ガスの排出削減対策を講じていない石炭発電設備を段階的に削減することで合意しました。中国は、石炭火力発電所の廃止については明確な時期を決めていませんが、世界的な脱炭素の動きを受け、各方面で石炭の使用を減らす動きを強めています。

    中国では2015年以降、LNGの輸入基地を中心としたインフラ整備が急ピッチで進められ、今では20カ所以上の基地が稼働しています。世界各地のLNGの生産プロジェクトに出資するとともに、長期契約でLNGを確保しており、中国のLNGの輸入は今後も増えそうです。このような動きのなか、中国のLNGの輸入量は、近い将来日本を抜き世界1位になるとの見方が強まっていましたが、今年も中国の輸入量が大きく増えていることから、2021年には日本を抜き世界の首位に立つことが確実となっています。

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出所:BP統計を基に作成


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