【再エネ・クリエネ】13、風力発電の普及率は?

    英国の電気料金高騰が世界的なニュースになっています。英国では、電力供給の約25%を風力発電で賄っていますが、風の吹かない状況が続いたため、電力供給量が不足したことが主な要因です。英国では、風力不足を起因にガス価格も記録的な上昇となり、老朽化した石炭火力を稼働せざるを得ない状況となりました。世界的な脱炭素の動きが進むなか、再エネの問題点が露呈した格好です。


    日本における発電電力量に占める再生可能エネルギーの比率は、2020年におおむね20%となりました。このうち、風力発電は1.0%未満で、太陽光発電の約8.5%、バイオマスの約3.0%と比べ、まだまだ普及が進んでいない状況です。

    普及がなかなか進まない要因としては、英国のケースでもあるように、風況に左右されるため、設備の稼働率があげられず、採算の確保が難しいことにあります。風況が安定的な北海道や東北の一部では、設置率が高いものの、これらの地域では需要規模が小さく、電力消費地と電力の生産地を結ぶ送電網の整備なども必要となります。さらには、台風や雷などにより、風車など発電設備に被害が生じることが多く、発電事業者のリスクが高いことも普及の足止めとなっています。

    ただ、脱炭素社会を目指すには、さらなる再エネの普及は欠かせず、風力発電もその一端を担っていることは言うまでもありません。風力発電は、建設コストやランニングコストが安いほか、離島などにも設置できるため、独立した小規模な発電ネットワークを構築しやすいといったメリットがあります。先ごろ発表された、「第6次エネルギー基本計画」では、2030年度の再エネ比率がそれまでの22~24%から、36~38%に引き上げられました。風力発電も、それまでの目標値であった1.7%から5%に引き上げられており、これまでのデメリットをどう克服していくかが課題となりそうです。

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