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米国=DOEがLNGプロジェクト投資で「中国企業の締め出し」を要請

米国で展開される液化天然ガス(LNG)計画に関連し、米エネルギー省(DOE)がこのほど、プロジェクトの運営主体に対し「中国企業の締め出し」を要請した。

 

エネルギー専門サイトなどが5月末、フリーポートLNGプロジェクトを運営するフリーポートLNGディベロップメント社(米テキサス州)のトップがDOEから「中国企業からのLNG投資を受け入れるな」との要請を受けて、中国企業との契約を取り止めたと報じた。企業名は明かされなかったが、香港拠点の中国企業が同プロジェクトへの出資を予定していたと伝わる。フリーポートLNGは、今年後半にも輸出を開始する予定だ。

特定の中国企業、もしくは、中国企業全体が外されたのか―その真相は現時点で不明だが、専門家らの意見を集約すると、中国全体がターゲットにされたとの見方が強いようだ。

南シナ海における中国の海洋進出、中国主導によるアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立など、世界中で存在感を増す中国の覇権主義ともいえる動きに対し、米国が警戒感を示し、米LNG投資で中国企業の締め出し策に出たとの見方が広がっている。

リム情報開発はこのほど、フリーポートLNGディベロップメント社に対し、DOEの要請を受け入れた理由などについて文書で質問した。これに対し、同社は5月20日、南シナ海の南沙(英語名:スプラトリー)諸島で、一方的に岩礁の埋め立て工事を実施し、人工島の建設を進める中国への警告とし、当局(DOE)の要請に従ったことを示唆した。

DOEが中国企業によるフリーポートLNG計画への投資を受け入れないように圧力をかけたことが明白になったことで、米中間で今後、軋轢(あつれき)が生じ、政治問題に発展するとの見方もある。習近平・国家主席が9月に訪米し、首脳会談でバラク・オバマ米大統領が、中国側に自制を求めると予想されるなか、中国側は南沙諸島における中国の領有権をあらためて強調するとみられる。双方の主張が平行線を保ったまま、埋め立て工事だけが今後も着々と進められる可能性が大きい。

ところで、DOEは5月7日、米メリーランド州カルバート郡のドミニオン・コープ・ポイントLNGに対し、自国産LNGを米国と自由貿易協定(FTA)を締結していない国々に輸出することを認可した。認可された量は20年間で日量7億立方フィート。米国の天然ガス生産量は増加の一途を辿り、2015年の生産量は日量724億立方フィートと見込まれる。

2015.05.27