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ロシア=エネルギー分野でベネズエラと関係強化、140億ドル投資へ

ロシアとベネズエラがこのほど、エネルギー分野のさらなる関係強化に乗り出した。ロシア国営石油会社のロスネフチが、ベネズエラの石油・天然ガス部門に140億ドルを投資することで双方が合意した。

 

5月18日、ロスネフチは声明を発表。このなか、同社のイーゴリ・セチン社長が、ベネズエラの首都カラカスでニコラス・マドゥロ大統領と会合し、 両国がエネルギー分野で長期にわたり、連携を図ることを確認したという。140億ドルの投資額については、ベネズエラで現在実施している5つのプロジェク トに加え、今後、予定されているプロジェクト向けを含むとしている。ロスネフチは今後、ベネズエラにおける原油生産量を160万トン(2014年)から 19年までに800万トンに増やす予定だ。

ロスネフチは、これまでもベネズエラと関係強化を図ってきた。2010年から4年間で、ベネズエラでの合弁プロジェクトですでに18億ドルを投資 したという。5月28日付のサイト『モスクワ・タイムズ』によると、ベネズエラ国営PDVSAとの合弁企業であるペトロ・モナガスの株式保有率を 16.7%から40%に引き上げる計画だ。40%の保有比率は、外国企業に認められる上限となる。

ところで、昨年来の原油安は、ベネズエラ経済に大きな打撃を与えた。年明け早々、マドゥロ大統領が中国、ロシア、中東諸国を訪問し、緊急支援を要 請。一方、米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスが、ベネズエラの格付けを「Caa1」から2段階下げて「Caa3」にしたと発表するな ど、同国の財政事情が危機的な状況に見舞われた。

ベネズエラの輸出収入に占める石油の割合は96%を占める。現時点で、ベネズエラの債務不履行(デフォルト)に陥る危険性が完全に払しょくされた わけでない。ただ、3月半ば以降の国際原油価格の回復に加え、今回のロシアからのエネルギー分野への巨額投資が、ベネズエラにとって当面、「大海の木片」 になるだろう。ベネズエラ経済の今後の動向が注目されている。

2015.06.10