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お知らせ

世界エネルギー事情=チャタムハウスの専門家らが都内でシンポジウム

日本エネルギー経済研究所(IEEJ)と、アジア太平洋エネルギー研究センター(APERC)はこのほど、都内でシンポジウムを開催した。このな か、「原油価格の見通しと産油国・消費国経済への影響」と題するセッションで、各国の著名なエネルギー・環境問題専門家が意見を述べた。このうちの何人か の発言要旨を以下、紹介する。

◆王立国際問題研究所 (英国チャタムハウス)

 特別上席フェロー ポール・スティーブンス氏

スティーブンス氏はまず、原油の過剰供給によって在庫が蓄積していると指摘。これからイラン、リビアのほか、イラクからも供給が増えるかもしれな いとし、地政学的な脅威を無視できなくなるとの見解を示した。そのうえで、今後の北海ブレント原油価格の短期的な見通しについて「しばらくの間、低水準が 続く」とした。

◆ロシア・エネルギー研究院(ERI RAS)

  石油・ガス部長 タチアナ・ミトローバ氏

ミトローバ氏は、ロシアのエネルギーを取り巻く環境について「非効率な状態が続いている」と指摘。今後、5~7年で製油所の 近代化工事や、再生可能エネルギー分野の開発など、ロシアが新しいエネルギー・インフラづくりに取り組む必要性を強調した。他方、天然ガスについては、コ スト面で国際的に競争力があるとし、天然ガス価格が(1MMbtu当たり)7ドルのレベルでも勝ち残ることができると見解を示した。

◆カナダ・エネルギー研究所(CERI) 

  名誉会長 マルワン・マスリ氏

マスリ氏は、昨年来の原油安の影響について、カナダ各州によって状況が異なるとの見解を示した。地域差があり、生産州のアルバータには逆風だが、消費する州のケベックにはプラスとした。カナダ全体として、原油安は46%が良く、42%が良くない、残りは不明とした。

IEEJと附置機関のAPERCは2016年、それぞれ創立50周年、20周年を迎える。その先行行事として6月11日、各国の著名なエネルギー問題の専門家らを招き、特別シンポジウムを都内のホテルで開催した。

2015.06.15