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イラン(2)=国際石油・天然ガス市場への復帰は早くて今年後半か?

海外の石油大手企業が、イラン政府の関係者とすでに接触を図っていることが判明している。

 

6月5日にウィーンで開催された石油輸出国機構(OPEC)定例総会と並行し、当地で英BP、仏トタル、ロシアのルクオイルらの幹部たちが、イランのザンギャネ石油相と会合し、経済制裁が解除された後のエネルギー投資の可能性を探ったとされる。英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルや伊ENIの幹部が、イランへの再投資を協議するため、テヘランを訪問済みだ。また、ロシアのガスプロムは、イランの液化天然ガス(LNG)プロジェクトに参加する意向を示したそうだ。

こうした状況下、米エネルギー情報局(EIA)は6月19日、イランに関する国別レポートを更新した。それによると、イランは原油埋蔵量で世界第4位、天然ガス埋蔵量は同2位だ。原油の確認埋蔵量は1,580億バレル(2015年1月現在)、14年の原油生産量は日量280万バレルだった。2014年のイランの石油消費量は日量180万バレルで、中東地域でサウジアラビアに次ぐ消費国だ。14年末の時点で、原油精製能力は日量204万バレル。

他方、EIAによると、天然ガスの確認埋蔵量は1,201兆立方フィート(15年1月現在)、13年の天然ガス生産量は8兆1,000万立方フィートに対し、国内消費量は5兆6,000万立方フィートだった。

経済制裁の解除を契機に、堰を切ったようにエネルギー分野で攻勢をかけようとするイランだが、欧米諸国のイラン産原油の輸入制限は2016年まで撤廃されないとの見方が濃厚だ。核開発問題の協議に関連して、欧米側は合意内容がきちんと順守されているかを見届ける方針だ。米議会での承認が必要となる。さらに、「製油所などで技術的な作業もあり、制裁が解除されたからと言って、イランが石油の輸出量を急速に増やせるわけでない」(国内の大手商社関係者)との見方もある。

こうした点を踏まえると、イランの石油・天然ガス市場への復帰は、早くても今年後半もしくは来年初めにずれ込むというのが、エネルギー業界関係者に共通した見方のようだ。そのタイミングに合わせ、外資系企業の市場再参入に向けた競争があらためて激化しそうだ。

2015.07.16