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ベネズエラ=原油発見のエセキボ地域めぐり、ガイアナとの国境調停へ

2015.07.23

ベネズエラは7月半ば、隣国ガイアナ(首都はジョージタウン、英連邦加盟)と領有権を争う係争地「エセキボ」問題の解決のため、国連に調停を依頼すると発表した。ガイアナはすでに国際司法裁判所(本部:ハーグ)に調停を依頼済みだ。国境周辺で海洋油田が発見されたため、早期決着を図りたいとの両国の思惑が働いたようだ。

 

係争地は、ガイアナ西部を流れるエセキボ川の西側にあるバリマ・ワイニ、マザルニ・クユニ、アッパー・タクトゥー・アッパー・エセキボなどのガイアナ6州を含む地域。ガイアナ国土の71%強に相当するという。ガイアナは、英領時代の19世紀から隣国ベネズエラと「エキセボ」領土問題を抱えている。

長期間にわたり、領有権争いが続いてきたが、ここにきて国連への調停申請に至った背景には、係争地で原油埋蔵が発見されたことがあるとされる。米エクソン・モービルは今年5月20日、子会社のエッソE&P(ガイアナ)が、ガイアナ沖合約190キロメートルの鉱区(リザ―1井)で原油埋蔵を発見したと発表。同鉱区で初の掘削井の発見となった。現在、商業生産の可能性などについて評価作業を続けている。

原油発見の一報に焦ったのがベネズエラだ。同国は過去4年間、ガイアナで生産される4割に相当するコメを輸入していたが、ベネズエラは突然、コメの大半を輸入停止するとガイアナ側に通告してきたそうだ。7月10日付の『AP通信』などが伝えた。

ベネズエラの脅しともとれる行動に、ガイアナのデービッド・グランジャー大統領が「軍事的な解決でなく、国際法廷の場で黒白(こくびゃく)をつけることを望む」といった主旨の発言をした。ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領はこれを受け入れ、国連に調停を委ねる方針を決めたようだ。

石油や天然ガス埋蔵の発見で、領有権をめぐる争いが緊張の度合いを増すケースは現在、世界各地で散見される。本特集記事(15年4月30日付、7月9日付)で取り上げたように、フォークランド(マルビナス)諸島をめぐるアルゼンチンと英国との間で、自国の領有権を主張し合っている。

今回のガイアナとベネズエラのように、紛争解決の場を当事者同士でなく、国連という場を活用することで、少なくとも軍事的な衝突は避けられそうだが、現実の世界では、法的解決に向けた動きに逆行するケースが目立つのも事実だ。