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米領ヴァージン諸島政府=ホベンサ製油所の閉鎖で米石油大手を提訴へ

中米プエルトリコの東方沖に浮かぶ米領ヴァージン諸島。ここの政府がこのほど、島々のなかで最大面積を誇るセント・クロワ島にあるホベンサ製油所の閉鎖で大きな損失を被ったとして、これを運営する米石油大手のヘス・コーポレーションを相手取り、訴訟を提起するとした。

 

ホベンサ製油所は、石油精製企業ホベンサのほか、ニューヨークを拠点とするヘスが運営。ヘスは後に、ベネズエラ国営石油企業のPDVSAに保有株式の50%を売却した。米領ヴァージン諸島は米自治領で、同諸島の西側半分を占める(東側は英領)。面積は総計355平方キロメートルで、人口は約10万5,000人とされる。

ホベンサ製油所は1966年に稼働、当初の精製能力は日量4万5,000バレルだった。1974年には同65万バレルまで増加し、当時、世界最大規模の製油所とされた。その後、精製能力は減少し、2011年には同35万バレルの水準まで落ち込んだ。2012年2月、経営効率の悪化などを受けて、ヘスとPDVSAは製油所の閉鎖を決めた。

2014年には、アトランティック・ベースン・リファイニング(ABR)への売却話が浮上した。ただ、ABRは買収条件として製油所の建て替え、製油所の再稼働を求めたそうだ。そのための経費として、米領ヴァージン政府は16億ドル以上を支払わなければならないが、到底、費用負担に応じられる状況にない。

9月14日付のサイト『U.S.ニュース』によると、米領ヴァージン政府がヘスを提訴に踏み切る理由について、ヘスが操業継続に合意していたにもかかわらず、2012年にセント・クロワ島のホベンサ製油所を閉鎖したしたことで、数千名に及ぶ雇用や税収が失われたと主張する。

ホベンサ製油所の閉鎖によって、米領ヴァージン諸島で生活する人々の暮らしに及ぼすダメージは計り知れない。今後、訴訟となれば、全面的な解決まで相当な時間を費やすことになる。一方、米領ヴァージン諸島で、新たな産業の育成が求められるものの、そのグランド・デザインすら描けていないのが実情のようだ。

2015.10.05