HOME > お知らせ > 豪州事情=風力発電から他の再生可能エネ発電技術の投資にシフトへ

お知らせ

豪州事情=風力発電から他の再生可能エネ発電技術の投資にシフトへ

豪クリーンエネルギー金融公社(CEFC)は今夏、風力発電の技術開発に対する投資を止め、他の再生可能エネルギー技術への投資に振り向ける方針に転換した。米エネルギー情報局(EIA)が8月下旬、豪州の再生可能エネルギー開発に関する報告書をまとめ、その概要を公表した。

 

豪連邦政府のトニー・アボット首相は、CEFCに対し、これまでの大規模風力発電のような、すでに確立された技術に投資するよりも、他の再生可能エネルギーへの新技術の開発に投資を振り向けるべきであると強調した。地球温暖化にともなう二酸化炭素(CO2)の排出削減に対応するとともに、原油や鉄鉱石など資源価格の下落を受けて、再生可能エネルギー技術の開発で雇用創出など景気浮揚につなげたいとの意図があるようだ。

アボット発言を受けて、CEFCは、風力発電に対する投資を止める方針に転換したという。CEFCは2013年から2017年にかけて年間ベースで20億豪ドルを再生可能エネルギー技術に投資する予定だ。今年7月時点における豪州の再生可能エネルギー技術への投資比率は、太陽光発電33%、省エネルギー30%、風力発電21%、その他16%となっている。

EIAによると、2012年の豪州での再生可能エネルギーによる発電量は24テラワット時(TWh)で、全体の1割強を占めた。豪州政府は2020年までに33TWhにまで高める計画を立てている。

ところで、風力発電を重視しない方針を決めた豪州だが、風力エネルギー発電が高い潜在性を有しているのも事実だ。2014年現在、豪州国内には61基のウィンドファームがあり、合計出力は3.8ギガワット(GW)。現在、計画中や工事着工に漕ぎ着けた風力発電プロジェクトを含めると、総計で12ギカワットの出力が得られるという。

再生可能エネルギーの技術開発はいまや、世界的な潮流となっているようだ。米国では、バラク・オバマ大統領が、米エネルギー省(DOE)による先進クリーンエネルギー技術開発に10億ドル超の支援を決めたと発表済みだ。DOE融資局(LPO)が、クリーン発電計画で商業ベースのプロジェクトに融資保証を行うという。

2015.09.11