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モルドバ事情=天然ガスパイプライン延伸の建設を2016年に開始へ

ウクライナ危機が長期化の様相を呈するなか、旧ソ連邦に属していたモルドバが、天然ガスの供給でロシア依存からの脱却を図っている。調達先の多様化によって、ガス価格の交渉でロシアにプレッシャーをかける動きを見せるなか、モルドバとルーマニア両政府はこのほど、両国間を結ぶ新たな天然ガスパイプライン延伸の建設を2016年からスタートすることを明らかにした。

 

ウクライナとルーマニアに挟まれるモルドバ共和国。首都はキシニョフ(キシナウ)で、人口は約356万人(2012年)の小国だ。モルドバはルーマニアとの経済関係が強く、公用語はルーマニア語だ。

 

2014年8月末、両国間で建設工事を進めてきた天然ガス・パイプライン(全長43キロメートル)が完成した。ルーマニア第2の都市であるヤシとモルドバのウンゲニを結ぶパイプラインで、輸送増につながると期待された。ただ、供給される天然ガス量は国内需要の僅か5%に過ぎず、ロシアからの依存脱却を図るには程遠いレベルだった。

 

モルドバはその後、天然ガス全量をルーマニアから購入することを睨み、新たなパイプライン建設で資金調達に動いていた。サイト『ビジネス・インサイダー』(2015年10月9日付)によると、今回、モルドバとルーマニアは、前述の天然ガスパイプラインを延伸することで合意した。既存のパイプラインを活用し、キシニョフまで延長する計画だ。建設費は9,400万ドルで、欧州連合(EU)からの金融支援を見込むという。

 

一方、ルーマニアからは、同国最大の石油精製会社の株式売却に関する情報が伝わる。同国のロム・ペトロールが2016年半ばまでに保有株式26.7%を2億ドル以上で売却する意向を示す。具体的には、ロム・ペトロールの親会社であるカザフスタン国営カズムナイガスの子会社KMGインターナショナルが、売却先の筆頭候補とされる。10月6日付の『ルーマニア・ジャーナル』などが報じた。

2015.10.29